女王陛下のお婿さま
 アルベルティーナもコップの水をグイと煽る。コップを静かに置くと、微笑んだ。

「分かりました。では、明日ではどうですか?」

 彼女はファビオの挑発を受けて立ったのだ。しかしアルベルティーナにも自信があった。

 絶対にファビオなんかには落ちない。

「供はマイラとクラウスだけにします。何処へ行くかは貴方にお任せしますわ」

「ああ、分かった」

 ファビオはそれだけ返事をすると、食堂を出て行った。

 ファビオが食堂を出ると、空になったアルベルティーナのコップに水を注ぎながら、マイラは心配そうに言った。

「あの王子と一日付き合うなんて……アルベルティーナ様、大丈夫なんですか?」

「心配しなくても大丈夫よ、マイラ。別に取って食われる訳じゃないし」

「取って食いますよ! あの王子なら!!」

 どうやらマイラは本気でそう思っているようだったが、アルベルティーナは余裕の笑みを返す。

「大丈夫だってば! あんな王子の言いなりになるつもりなんてないから! もし何かあったら、マイラが助けてくれるんでしょう?」

「勿論です! アルベルティーナ様は私が守ります!」

「頼りにしてるわ、マイラ。それにクラウスもいるし、だから大丈夫!」

 無邪気に微笑むアルベルティーナを見つめながら、マイラは心配そうに息を吐いた。

 マイラは知っているのだ……女王陛下の本当の気持ちを。直接聞いたわけでは無いが、子供の頃からずっと見ていた彼女には分かる。

 同じように子供の頃から見ているクラウスの気持ちは、今は分からなくなってしまったが。子供の頃の二人は仲が良かったのに……最近では、わざとアルベルティーナと距離をとり、遠ざけているようにも感じる。

 そんなアルベルティーナを見て、マイラはますます心配になってしまった。
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