女王陛下のお婿さま
すると、城の方からマイラがやってきた。マイラは、ヘーメル国王が帰るのでルイを迎えに来たのだった。
「やれやれ、これで静かになるな。この城に王子は二人も必要無いからな」
どうやらファビオは、アルベルティーナを一人占め出来なくて、ルイに辛辣な事を言っていたみたいだ。彼が帰ると分かったとたん、嬉しそうな顔をしたのだから分かりやすい。一方、ルイの方は何か考え込むような表情になってしまった。
「ルイ王子様、皆様のいるお部屋までご案内致します」
マクシム国王の待つ部屋まで案内しようとマイラが声を掛けるも、ピクリとも動かない。マイラがそれに困ってアルベルティーナに視線を向け助けを求めたので、今度は彼女が声を掛ける。
すると、ルイは顔を上げにこりと微笑んだ。
「帰るのはやめる事にします。ですから、父に伝えて下さい。僕は暫くこの城に滞在する事にしたと」
「――は?」
「――えっ?!」
アルベルティーナとファビオは意図せず同時に声を上げてしまった。
「何でだよ! お前なんかお呼びじゃない! 帰れよ!」
「……貴方こそ、もうご自分の国へ帰ったらいかがですか? 俺の女王陛下、とか言っていましたが、どうやらそうではないみたいですし。それなら僕にも女王陛下に求婚する権利はありますよね?」
ぐうの音も出ないファビオ。
「そんな! 城に滞在するなんて、勝手に決められても困ります!」
今度はアルベルティーナが慌てて言ったが、ルイは嫌味ともとれる優しい微笑みを返した。
「どうしてですか? このような立派な城に、客室が足りないとは考えられない。それに、ファビオ王子は良くて僕はダメなんですか?」
ルイの言う通りだった。城の客室一室はファビオが使っているが、他にも幾つもある。それこそ、何処かの王子があと五、六人来ても、マイラたち侍女が多少忙しくなるだけで何の問題も無い。
それに、ファビオがもう何日も滞在しているのだ。断る理由も無かった。アルベルティーナも何も反論出来ず、沈黙。
そうしてほぼ無理やり、ルイも城に滞在する事になってしまったのだった。
◇