女王陛下のお婿さま

「ど、どうして今、そんな話を……」

「結婚が決まってからすぐ、俺はクラウスに会ってきたんだ」

「え……」

「あいつはもう、お前を守れないと言っていた……」

 クラウスとの約束が、アルベルティーナの脳裏に浮かぶ。


 ――朝焼けの約束……


「調べてみたら、どうやらクラウスのパレン公爵家は、今は借金で火の車らしい。管理していた叔父夫婦がその借金を作り、夜逃げしたそうだ」

「そんな……!」

(だからクラウスはここ最近、頻繁に実家に帰っていたんだ……)

 クラウスがまだ城に居る時……度々休みを取っていた。そして彼がなぜ自分を遠ざけていたのかも、アルベルティーナはやっとわかった気がした。

 借金の督促の手が、幼馴染みで女王でもあるアルベルティーナにまで及ばないように。そういう輩は、金が取れると思うと、何処にでも手を伸ばしてくる。

 たとえそれが、女王だとしても……

 だからクラウスは、アルベルティーナを守る為城を去ったのだ。

 クラウスならきっとそう考える。

「――で、お前はどうしたい?」

 どうしたい、とはどういう意味なのだろう。自分を見つめてそう問いかける、ファビオの真意が分からなかった。

「諦めの達人になるのか、諦めない達人になるのか。アルベルティーナ、お前はどうしたいんだ?」

 諦めの達人か、諦めない達人か。

 ……もう、諦めようと思っていた。

 クラウスは変わってしまったんだ、もうあの約束をした頃とは違うんだと、アルベルティーナはそう思おうとしていた。だからファビオと結婚しようと決めたのに。

 ファビオの言葉はいつも、アルベルティーナの心を奥底から揺らす。
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