【 ファン限定 】代償は溺愛.煽情的啼鳥に悪戯

はぁ?何それ。
頬を膨らませ、怒りに震えていると。

「留惟が悪いんだ、意識を失う前に。涙目で俺を誘ったんだ。気を失ってるのに気づくのが遅かっただけ……俺は悪くない。」

じっと見つめ、主張がどれだけ正しいのか観察。
すると視線を逸らし。

「……もう少しって、いつだよ。」

いじけモード。不機嫌な態度に変化していく。
あぁ、こんな姿を見せられると弱い。

我慢させていたのは本当。
受け入れると約束して、それにちゃんと答えていなかったのも事実。

好きだと告白したのは私。
泣いた顔を見たいと言われ、怯んだのも私。
言葉は乱暴だったけれど、無理やりするわけでもなく。

訪れたチャンスに浮かれ、キスも必死だった。
その流れ。気づくのが遅くなった。
まぁ、どこまでしたのかは分からないけれど。

胸元やお腹に幾つか見えた赤い痕。
自分の記憶にない行為。

悔しい。

「ねぇ、暁くんはさ。この保健室じゃなく。私が良いよって言ったら、どこでするつもりだったの?」

まさか、学校の。いくら先生の不在だろうが保健室でってわけじゃないよね。
私の疑問に、一瞬の真顔で無言。

そして、満足そうな笑みを浮かべ。

「くくっ。なんだ、その気になったのか?来いよ。俺の家に。独り暮らしだぜ。壁も意外に厚いしな。声も気にせず、存分に泣けるぞ。……煽情的な涙に、俺も遠慮はしない。」

優しいはずなんだけどな。可愛いのも確か。
それでも、彼をこんな風にするのは。

私の。





煽情的涙
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