【 ファン限定 】代償は溺愛.煽情的啼鳥に悪戯

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Side:樋野 暁(ひの あかつき)
遠田 留惟(おんだ るい)


独り暮らし。とは。
暁くんは、大きな家に鍵を開けて入りながら。

「両親は海外、兄貴は県外。今、この家に俺一人。知らなかった?群がってた女子、何度か噂して突撃とかあったんだけど。」

そう。成績優秀、かっこよくて、運動神経抜群でお金持ち。
好きにならないはずがない。

そんな群がる女性に冷めた視線で。
そんな彼が。

私は玄関に後追いで入り、ドアを閉めようと取手に触れた瞬間。
自分に影がかかり。
手が重なって、勢いよくドアは引かれて閉じた。
上下に付いた鍵を手際よく閉めるのを目の当たりに。

恐る恐る顔を上げると、上から鋭い視線で。

「くくく……入ったよな、自分から。二人きりの家だと分かった上で。それは、これからの行為を同意したとみなす。良いよな?」

顔が近づいて、キスされるのかと思って目を閉じた。
すると。ふわりと体が浮いて。

目を開けると、肩に担がれ。
自分の靴がボトボトと落ちて地面に転がり。
暁くんも靴を脱いで、早歩き。

「舌を噛むなよ。」

そう言って階段を駆け上がる。
入った部屋。目の前で閉まったドアは、どんどん離れて行き。
ズルズルと体が滑って、足が着く前に。
頭からお尻まで柔らかい感触に沈んだ。これは。

あれ、どうして私。
ここに来たんだっけ?

保健室で、暁くんの独り暮らしを聞いて。
そう、いつも皆に見せている雰囲気に戻って。
帰るぞって手を差し出され。
普通に会話しながら来たような……。

「あはは。留惟、本当に俺が好きなんだな。ちょっと大人しくしてれば、疑問も持たずに付いてきて。残念ながら、容赦はしねぇ。」

そう言って、また自分から服を脱いでいく。
それだけ自信があるのかな。

「ん?随分、余裕じゃねーか。くくっ。あぁ、そうだよな。さっきだって優しくすればいいって言った。……だろ?」

好意を向けられることに冷めているはずの暁くんが、私に熱い視線を向け。
何度も確認して。

私は拒絶しないけれど、曖昧な態度。
いいって言ったのに。

私はボタンを外して、自分で上着を脱いだ。
スカートのファスナーを下ろし。

じっと見つめる視線。

「まだ見ないで。」

どこか冷静だった自分に恥ずかしさ。
見下ろす視線は逸れることがなく。

震える手でスカートを脱ぎ、ベッドの下に落とす。

「恥ずかしくて泣きそう。ねぇ。泣いても優しくして。限界が来たら許してくれるよね?」

「俺を煽っておきながら?優しくするよ……だけど、容赦はしない。」

目に溢れて霞む視界。零れる涙。
それは。
煽情的涙





END
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