【 ファン限定 】代償は溺愛.煽情的啼鳥に悪戯
籠の中の鳥。
それは私とあなた、どっちなのかしら。
少し早いけれど起きて、話し合わなきゃいけない気がする。
もうこの家には、私と藤九郎の二人だから。
両親は母の実家、相続した屋敷に引っ越した。
自分が策を講じた斜め上のどんでん返し。
着替えを済ませて、台所に向かうと。
「二度寝はしなかったの?まだ、朝ご飯が途中だよ。」
作業をしながら、会話は敬語ではなく普通。
少し安心する。
「作ってくれてありがとう。ゆっくり待つわ。私が手伝うと、遅くなりそうだから。」
手際よく。洋風の朝食を整え。並行作業で和風のお弁当。
彼にとっては、狭い台所かな。
「七帆、俺のこと好き?」
目の前にプレートを置いて、私に問う。
なんだろうか。
「好きよ。」
「そ。冷えないうちに食べて。俺、学校の準備してくるから。」
素っ気ない。
そして、視線を逸らして立ち去ろうとする。
「何故、一緒に食べないの?」
足を止め。
私の頭に手を置き。そっと撫でるような一瞬。
「俺は、執事だからね。」
そう言って台所から出ていき、階段を上る音が遠ざかっていく。
悔しい。
命令すればいい?
そんなことをしたくない。分かっているくせに。
それでも敬語ではないのは。
彼なりの譲歩。