【 ファン限定 】代償は溺愛.煽情的啼鳥に悪戯
「ハマるなよ。」
カッと顔が赤くなり、否定しようと顔を向けたけれど。
松沢は、いつもみたいにからかうわけでもなく。作業を再開する。
「……自分でも買ったけれど、ハマってはない。」
「そっか。それを鞄の中に持って、職員室に行くお前を観察するのは楽しいだろうな。」
鬼畜だな、コイツ。
俺の視線が冷たかったからか、何を勘違いしたのか。
「言っとくけど、図書室で誘ったのは向こうだからな。」
うらやましい。なんて、口が裂けても言わないぞ。
コイツなりに、俺以上の苦労が何かあるんだろう。
【ピコン】
携帯から着信音。
「和叶からだ。」
メッセージには。
「お、どうした?箱の出番か。」
コイツ、この内容を読んでいないのに。
それだけ、俺の表情に出ていたんだろうか。
「帰る。」
「気をつけてな。」
あぁ、松沢はあの時に邪魔したのを気にしていたのか。
「松沢、心配するな。例えコレを使えなかったとしても、お前のせいじゃない。」
「ばーか、使えよ。何のために渡したかわからねーじゃないか。」
俺は教室を出て、和叶の家に向かう。
親族の葬儀で、両親が不在だと。その状況に招待されて。期待する。
きっと君には分からない。
この溺愛が、どれほど俺を焦がすのか。
恋焦がれ。求めてやまない。
それはまるで業火……