響け！猛毒のグラーヴェ
濁った後悔ごと
庭でレオンハルトとアントーニョはエミリーのいないお茶の時間を楽しんだ後、晩餐会が始まるまで部屋で休むことにした。夕方になり、晩餐会のための着替えをレオンハルトが済ませると、ドアがノックされる。

「はい」

「失礼致します。会場までご案内致します」

ドアを開けた先ではルシアが頭を下げていた。レオンハルトは「よろしくお願いします」と微笑む。ルシアの背後にはアントーニョがいた。いつもはカジュアルな格好の彼だが、晩餐会ということもあってタキシードを着用している。

「アントーニョのそんな格好を見るのは初めてかもしれないね」

「馬子にも衣装か？」

「いや、似合っていると思うよ」

レオンハルトの言葉にアントーニョは安堵したような表情を見せた。ルシアが先に歩き、レオンハルトとアントーニョはついて行く。

「こちらが晩餐会の会場となります」

一階の一番奥の扉をルシアが開けた。扉の先にある景色を見て、アントーニョが「すげぇ」と呟く。扉の先にあったのは、まさに豪華絢爛という言葉が相応しい空間だった。
< 27 / 58 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop