響け!猛毒のグラーヴェ
天井からは煌びやかな大きなシャンデリアがぶら下がり、部屋の床は大理石でできている。会場にある柱には宝石が埋め込まれ、部屋の中央には長いテーブルが置かれていた。そのテーブルには金でできた食器とナイフ類が並べられている。

「立派だな」

レオンハルトがそう呟くと、「お気に召していただけたかしら?」と声が響く。柱の陰からエミリーが姿を見せた。彼女も昼間とは違った紺色のドレスを着ていた。金色の糸で星の刺繍が施されている。

「昼間はお見苦しいところを見せて申し訳ありませんでした。さあ、晩餐会を楽しんでいってください」

エミリーは軽く頭を下げ、レオンハルトとアントーニョに椅子に座るよう勧める。昼間とはまるで別人のようだ。レオンハルトの肩をアントーニョは突き、「あれ、偽物じゃねぇよな?」と確認したほどである。

(時間が経って落ち着いたのか……)

レオンハルトは微笑むエミリーを観察しながら椅子に座る。すぐにマルティンとセバスチャンが前菜を運んできた。
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