響け!猛毒のグラーヴェ
そうレオンハルトが言うと、刑事に再び睨み付けられた。その時である。甲高い声と共に悲鳴が聞こえた。

「あんたが毒をエミリー様に飲ませたんでしょう!?いつもいじめられていたものね!!」

「や、やめてください!!私、何も知りません!!」

声のした方をレオンハルトとアントーニョが目を向ければ、赤く血走った目をした妖精がルシアに掴み掛かっていた。セバスチャンとマルティンが「落ち着きなさい」と言いながら二人を引き離そうとする。しかし、火事場の馬鹿力と言うのだろうか。妖精はルシアを離さない。

「何だあいつら……」

アントーニョが呆れた様子でレオンハルトを見る。彼は杖を揉み合う二人に向けた。

「アイレ!」

レオンハルトが魔法を放った途端、二人が一瞬で引き離される。妖精をセバスチャンが、ルシアをマルティンが抱き止めた。

「少し落ち着きましょう。エミリー嬢の死は事件かどうかまだわかりませんから」

「こいつが殺したの!!私、わかってるんだから!!」
< 39 / 58 >

この作品をシェア

pagetop