響け!猛毒のグラーヴェ
リズの口から出たその意味に、レオンハルトはビオロンセロに来てからのことを思い返す。そしてハッと目を見開いた。

「これは詳しく調べないといけないね」

『……それとジュースの件ですが、グレープフルーツが人に害を及ぼすことはあります。特定の病を患っている方には』

その言葉に、レオンハルトは自身が好きな小説を思い出す。セドリックも、何の変哲もない果物が毒となった事件を解決していた。

「病?とりあえず、図書館にでも行って調べてみるか。どうせあの妖精は教えてくれねぇだろうし。地道に調べるか」

アントーニョが椅子から腰を浮かそうとする。それをレオンハルトは止めた。

「調べなければならないのはエミリー嬢の病だけじゃない。……これは、ある人を傷付けることになるかもしれないけれど」

そう言ったレオンハルトの目には、確かな決意があった。








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