スパイラル・コード〜内緒でハッカーやってたら、最強アイドルにバレちゃいました〜


「おい、あんた! わざとぶつかって転ばせようとしてただろ!」


 隼人くんがB組のリーダーに向かって怒鳴る。


「違う、その子が勝手に転んで」

「ウソつくな! 俺たちずっと見てたからな!」

「……っ」


 隼人くんの剣幕に先ほどまで強気だったリーダーは、急にしおらしくなって唇を噛み締めていた。


「美織ちゃん、大丈夫? 保健室に行こうか」


 廉くんが美織の手を引くと、美織の頬はりんごみたいに真っ赤に染まる。


「わ、わたしは大丈夫です! しえるの方がひどい怪我を」

「美織ちゃんだって怪我してるよ。僕が付き添うから一緒に行こう」

「ふええ……っ」


 美織ったら、憧れの廉くんに手を引かれてパニクってる。


「しえるも保健室行くぞ」

「あ、うん。いたっ」


 歩こうとすると、足が痛む。
 自分が思っていたよりひどい怪我をしてしまったのかもしれない。

 美織に心配かけたくなくて強がっていたけど、次の試合には出られないかも……。
 てゆーかその前に保健室まで歩いて行けない。


「足、痛むのか?」

「う、うん」

「ちょっと失礼」


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