ポーカーフェイスの二人は相思相愛で甘々で
【おまけ】策士祐の誤算
湯田中家のリビング。
蓮と雪乃の結婚報告をみんなで祝った夜。
笑顔と拍手が飛び交う部屋の片隅で、中瀬祐は黙って湯呑みを口に運んでいた。
笑っている。顔はいつも通り。
「おめでとう」って声も出したし、ちゃんと拍手もした。
でも。
――なんだよ、ずるいな。
祐は心の奥で小さく吐き捨てた。
瑠璃はずっと言ってる。
「陸と蓮が卒業するまでは、結婚待とうね」って。
それは分かってる。分かってるけど。
……でも。
楓だって、結婚した。
蓮だって、学生のくせに入籍するって。
家族みんな「蓮らしいね」って笑ってる。
――俺たちも、もういいんじゃないのか?
湯呑みを置き、祐は一瞬、瑠璃を盗み見る。
瑠璃は雪乃の手を握り、優しく微笑んでいた。
優しい人だって知ってる。
瑠璃が近くにいるから、色々我慢できている。
でも。
「瑠璃と一緒に暮らしたいよ。」
心の中でだけ、ぽつりと呟いた。
結婚したら、瑠璃に毎日「おかえり」って言ってほしい。
隣で寝て、朝も一緒に起きたい。
なのに。
「……ずるいな。」
言葉には出さず、喉の奥で呟いた。
瑠璃がそのとき、ふと祐の方を見た。
「祐?」
「……いいや」
いつもの笑顔を作る。
「おめでとうだね」
瑠璃は微笑んで、「うん」と頷いた。
その笑顔が、嬉しいようで、少しだけ切なかった。
祐は再び湯呑みを手に取り、冷めたお茶を飲み干した。
――でも、瑠璃が笑ってるからいいか。
祐と瑠璃が結婚するのはもう少し先の話。
蓮と雪乃の結婚報告をみんなで祝った夜。
笑顔と拍手が飛び交う部屋の片隅で、中瀬祐は黙って湯呑みを口に運んでいた。
笑っている。顔はいつも通り。
「おめでとう」って声も出したし、ちゃんと拍手もした。
でも。
――なんだよ、ずるいな。
祐は心の奥で小さく吐き捨てた。
瑠璃はずっと言ってる。
「陸と蓮が卒業するまでは、結婚待とうね」って。
それは分かってる。分かってるけど。
……でも。
楓だって、結婚した。
蓮だって、学生のくせに入籍するって。
家族みんな「蓮らしいね」って笑ってる。
――俺たちも、もういいんじゃないのか?
湯呑みを置き、祐は一瞬、瑠璃を盗み見る。
瑠璃は雪乃の手を握り、優しく微笑んでいた。
優しい人だって知ってる。
瑠璃が近くにいるから、色々我慢できている。
でも。
「瑠璃と一緒に暮らしたいよ。」
心の中でだけ、ぽつりと呟いた。
結婚したら、瑠璃に毎日「おかえり」って言ってほしい。
隣で寝て、朝も一緒に起きたい。
なのに。
「……ずるいな。」
言葉には出さず、喉の奥で呟いた。
瑠璃がそのとき、ふと祐の方を見た。
「祐?」
「……いいや」
いつもの笑顔を作る。
「おめでとうだね」
瑠璃は微笑んで、「うん」と頷いた。
その笑顔が、嬉しいようで、少しだけ切なかった。
祐は再び湯呑みを手に取り、冷めたお茶を飲み干した。
――でも、瑠璃が笑ってるからいいか。
祐と瑠璃が結婚するのはもう少し先の話。


