俺様な忠犬くんはご主人様にひたすら恋をする

17

私と藤堂の出会いは、会社の歓迎会だった。
企画部と営業部の合同の集まり。
新しく配属された私たち数人のために、先輩たちが開いてくれた飲み会だった。

大きな居酒屋の座敷。
最初こそ緊張していたけれど、席が近かったこともあって、私は藤堂と自然に話していた。
お酒が入ると、彼の言葉には不思議な温度があって、私はいつの間にか笑っていた。

「月岡さんって、真面目そうなのに、意外とよく笑うんだな」
そんなふうに言われて、少しだけ恥ずかしかったのを覚えている。

歓迎会も終盤に差し掛かり、トイレに立った帰りだった。
廊下の曲がり角で、不意に藤堂と鉢合わせた。

「帰るの? 早いね」
「うん。明日も仕事だし」

そう答えた私に、藤堂は何も言わず、ぐっと距離を詰めてきた。
狭い通路。背中が壁に触れる。
その瞬間、彼の手がそっと私の髪をよけて――

ふいに、キスされた。

驚きで固まった私に、藤堂はいたずらっぽく笑った。

「…ごめん。でも、たぶん今日から俺、月岡さんのこと好きになってる」

冗談みたいに軽い声だったけれど、目だけはまっすぐで、心臓が跳ねたのを今でも覚えている。

それが、私と藤堂の始まりだった。
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