俺様な忠犬くんはご主人様にひたすら恋をする
20
藤堂は、まるで何事もなかったかのように淡々と資料を取り出して、テーブルに広げた。
「ソファにでも座ってて」
声も表情も落ち着いていて、あの頃とは別の男みたいだった。
私は言われた通り、ぎこちなくソファに腰を下ろす。
(落ち着かない…)
この部屋の空気は、懐かしさで満ちているのに、どこか緊張感がある。
視線を泳がせていると、ふと、目に入った。
「あ……」
思わず声が漏れた。
そこにいたのは――
大きなシェパードのぬいぐるみ。
つぶらな瞳、ふわふわの手触り。
三年前、二人でショッピングモールに行ったとき、偶然出会ったもの。
「藤堂みたいだね」って私が言ったら、
「じゃあ俺だと思って抱いて寝れば?」と、茶化しながら買ってくれた。
あのとき、まんざらでもなさそうだったのを覚えてる。
そのぬいぐるみは、あの日からずっとベッドの枕元にあった。
私が抱きしめるたび、藤堂が優しく髪を撫でてくれていた――
私は、無意識のうちに手を伸ばしていた。
ぎゅっ。
懐かしい感触。ふわふわの毛並み。
それだけで胸がきゅっとなった。
そして、ふと――鼻先に、微かな香りがよぎる。
「……藤堂の匂いがする」
気づいたときには、口にしていた。
その瞬間、資料を見ていた藤堂の手が止まった。
そして、ゆっくり顔を上げた。
目が合う。
何も言わずに、ただじっと、私を見ていた。
その視線が、優しくて、切なくて、私の心の奥をぐらぐらに揺らしてくる。
私、なに言ってるんだろう――
そう思っても、もう遅かった。
「ソファにでも座ってて」
声も表情も落ち着いていて、あの頃とは別の男みたいだった。
私は言われた通り、ぎこちなくソファに腰を下ろす。
(落ち着かない…)
この部屋の空気は、懐かしさで満ちているのに、どこか緊張感がある。
視線を泳がせていると、ふと、目に入った。
「あ……」
思わず声が漏れた。
そこにいたのは――
大きなシェパードのぬいぐるみ。
つぶらな瞳、ふわふわの手触り。
三年前、二人でショッピングモールに行ったとき、偶然出会ったもの。
「藤堂みたいだね」って私が言ったら、
「じゃあ俺だと思って抱いて寝れば?」と、茶化しながら買ってくれた。
あのとき、まんざらでもなさそうだったのを覚えてる。
そのぬいぐるみは、あの日からずっとベッドの枕元にあった。
私が抱きしめるたび、藤堂が優しく髪を撫でてくれていた――
私は、無意識のうちに手を伸ばしていた。
ぎゅっ。
懐かしい感触。ふわふわの毛並み。
それだけで胸がきゅっとなった。
そして、ふと――鼻先に、微かな香りがよぎる。
「……藤堂の匂いがする」
気づいたときには、口にしていた。
その瞬間、資料を見ていた藤堂の手が止まった。
そして、ゆっくり顔を上げた。
目が合う。
何も言わずに、ただじっと、私を見ていた。
その視線が、優しくて、切なくて、私の心の奥をぐらぐらに揺らしてくる。
私、なに言ってるんだろう――
そう思っても、もう遅かった。