俺様な忠犬くんはご主人様にひたすら恋をする
ご飯を食べ終えて、二人でソファに並んで座った。
食後のコーヒーの香りと、ほんのり残るケチャップの香ばしさ。
でも、それよりもずっと濃くて甘い空気が、私たちの間に流れていた。
沈黙。
でも、それは気まずさじゃなくて、どこか名残惜しいような、ためらうような静けさだった。
ふと、横を見ると、藤堂がこっちを見ていた。
まっすぐな目で。
あの目で見られたら、たぶん私は……。
心臓が跳ねる。
こんなふうに見つめられるのは久しぶりで、懐かしくて、少し怖かった。
——普段だったら、絶対にキスされている。
でも、藤堂は動かなかった。
グッと何かを飲み込むように、目を逸らして、深く息をついた。
「……この前、“待つ”って言ったのに。なんか今日、そばにいれるだけで、嬉しすぎて……恥ずかしい」
私は思わず、ふっと笑った。
その言葉があまりにも藤堂らしくなくて、でも、ちゃんと藤堂らしくて。
「ちゃんと、我慢してるんだね」
「……うん。俺の番だから。今度は、俺が待つ」
その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられた。
ずるいよ、そんなの。
でも、少しだけ、涙が出そうになった。
「送ってく」
静かに立ち上がった。
私は頷いて、コートを手に取った。
家までの道のり、会話は少なかったけれど、並んで歩くその感覚が、どこか懐かしくて、心地よかった。
家の前に着くと、藤堂は何も言わずに私を見た。
ただ見て、それから、やさしく微笑んだ。
「おやすみ。またLINEする」
「……うん。気をつけてね」
藤堂は私がドアを開けるまで見送って、それから静かに帰っていった。
ドアを閉めたあと、胸の奥がじんわり熱くなった。
こんな気持ち、久しぶりだった。
食後のコーヒーの香りと、ほんのり残るケチャップの香ばしさ。
でも、それよりもずっと濃くて甘い空気が、私たちの間に流れていた。
沈黙。
でも、それは気まずさじゃなくて、どこか名残惜しいような、ためらうような静けさだった。
ふと、横を見ると、藤堂がこっちを見ていた。
まっすぐな目で。
あの目で見られたら、たぶん私は……。
心臓が跳ねる。
こんなふうに見つめられるのは久しぶりで、懐かしくて、少し怖かった。
——普段だったら、絶対にキスされている。
でも、藤堂は動かなかった。
グッと何かを飲み込むように、目を逸らして、深く息をついた。
「……この前、“待つ”って言ったのに。なんか今日、そばにいれるだけで、嬉しすぎて……恥ずかしい」
私は思わず、ふっと笑った。
その言葉があまりにも藤堂らしくなくて、でも、ちゃんと藤堂らしくて。
「ちゃんと、我慢してるんだね」
「……うん。俺の番だから。今度は、俺が待つ」
その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられた。
ずるいよ、そんなの。
でも、少しだけ、涙が出そうになった。
「送ってく」
静かに立ち上がった。
私は頷いて、コートを手に取った。
家までの道のり、会話は少なかったけれど、並んで歩くその感覚が、どこか懐かしくて、心地よかった。
家の前に着くと、藤堂は何も言わずに私を見た。
ただ見て、それから、やさしく微笑んだ。
「おやすみ。またLINEする」
「……うん。気をつけてね」
藤堂は私がドアを開けるまで見送って、それから静かに帰っていった。
ドアを閉めたあと、胸の奥がじんわり熱くなった。
こんな気持ち、久しぶりだった。