俺様な忠犬くんはご主人様にひたすら恋をする
藤堂side
自分のマンションに帰って、ドアを閉めた瞬間、どっと脱力した。
さっきまで隣にいた瑞希のぬくもりが、残っている。
「待つ」って言ったのに。
言ったばかりなのに。
もう、今すぐにでも——あいつに触れたくてたまらない。
だめだ。
だめだ、俺。
そんなことしたら、今までの全部、台無しになる。
リビングの灯りは、瑞希がいたときのまま。
そこに視線を移すと、あの、シェパードがソファの上にちょこんと座っている。
……隠すつもりだったのに。
見せる気なんて、なかったのに。
タオルか何かで適当にくるんでおけばよかった。
「バカだな、俺…」
ぽつりと呟いて、シェパードを手に取る。
懐かしい、大きくて少しくたびれたぬいぐるみ。
抱きしめた瞬間、ふわっと、柔らかい匂いがした。
……瑞希の匂い。
一瞬で心臓が締めつけられた。
さっきまで本当に、そこにいた。
目の前にいて、笑ってくれた。
俺のご飯を食べてくれた。
——環の味だ、って。
あいつの言葉が頭にリフレインする。
言われた瞬間、心の奥が、溶けるように熱くなった。
ずっと、こうしていたい。
でも、今度こそ、壊したくない。
シェパードをぎゅっと抱きしめたまま、ソファに身を沈める。
「……今日は、眠れないかもしれないな」
目を閉じても、瞼の裏にあいつの顔が焼きついて離れない。
抱きしめたい気持ちが、蘇って、また胸が苦しくなる。
だけど、今度は——
絶対に、離さない。
それだけは、決めていた。
自分のマンションに帰って、ドアを閉めた瞬間、どっと脱力した。
さっきまで隣にいた瑞希のぬくもりが、残っている。
「待つ」って言ったのに。
言ったばかりなのに。
もう、今すぐにでも——あいつに触れたくてたまらない。
だめだ。
だめだ、俺。
そんなことしたら、今までの全部、台無しになる。
リビングの灯りは、瑞希がいたときのまま。
そこに視線を移すと、あの、シェパードがソファの上にちょこんと座っている。
……隠すつもりだったのに。
見せる気なんて、なかったのに。
タオルか何かで適当にくるんでおけばよかった。
「バカだな、俺…」
ぽつりと呟いて、シェパードを手に取る。
懐かしい、大きくて少しくたびれたぬいぐるみ。
抱きしめた瞬間、ふわっと、柔らかい匂いがした。
……瑞希の匂い。
一瞬で心臓が締めつけられた。
さっきまで本当に、そこにいた。
目の前にいて、笑ってくれた。
俺のご飯を食べてくれた。
——環の味だ、って。
あいつの言葉が頭にリフレインする。
言われた瞬間、心の奥が、溶けるように熱くなった。
ずっと、こうしていたい。
でも、今度こそ、壊したくない。
シェパードをぎゅっと抱きしめたまま、ソファに身を沈める。
「……今日は、眠れないかもしれないな」
目を閉じても、瞼の裏にあいつの顔が焼きついて離れない。
抱きしめたい気持ちが、蘇って、また胸が苦しくなる。
だけど、今度は——
絶対に、離さない。
それだけは、決めていた。