俺様な忠犬くんはご主人様にひたすら恋をする

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あの日以来、何も急がず、距離も詰めすぎず、本当に藤堂は待ってくれた。
ただ、そっと隣にいるように。

仕事では相変わらずペアを組むことが多かったけれど、そこに私情を挟むようなことは一切なかった。
会議でも、外回りでも、プレゼンの準備でも。
藤堂はいつも通り、いや──むしろ以前よりも丁寧に、誠実に私と向き合ってくれた。

「ちゃんと、瑞希を安心させたい」

そんな彼の思いが、まっすぐ伝わってきた。
言葉ではなく、態度で信頼を築こうとしているのが、わかる。
その姿に、少しずつ、私の中の「もう戻れないかもしれない」という不安が、ほどけていくのを感じていた。