俺様な忠犬くんはご主人様にひたすら恋をする

【おまけ】シェパードくんと俺

「ねえ、ちょっとズルくない?」

深夜、リビング。
環はソファに置かれたシェパードくんと向き合っていた。

瑞希はシャワー中。
その間に、環はそっとシェパードくんを抱き上げる。

「なぁ……おまえ、ちょっと瑞希にぎゅーされすぎじゃない?」

くしゃっとした前髪をかきあげながら、ふっと溜息を漏らす。

「最近さ……俺より距離近くない?」

「ベッドに来る前も、あいつ、真っ先におまえのとこ行って──“ねむいよ~”って」

「……俺、あれちょっと、焼いてるんだけど」

環は少しだけシェパードくんの鼻をつつく。

「俺なんてさ。ベッドでもっと優しくしてほしいってお願いしてるのに、ちょっと意地悪されるし──」

目を細め、真面目な顔になる。

「この前も……“だめっ”とか言いながら、めちゃくちゃ感じてたくせにさ」

「顔真っ赤にして、泣きそうになって、でも腰は逃げてないし──」

とろけるような声色で語りながら、頬を指でなぞる。

「……シェパードくん、見てたろ?」

「あれで、“優しくして”って言われても、俺、耐えられないんだけど」

わざとらしく肩を落として、環はため息をつく。

「それにさ、今夜もおまえに抱きついて寝るんだろ? 俺、ひとりで我慢してんのに」

「ずるいよな、おまえ。毛並み柔らかくて、匂いも落ち着くらしくて……」

そして、ふと微笑む。

「……でもまあ、許すよ。あいつがおまえにも俺にも甘えてくれるの、嫌いじゃないから」

瑞希の気配がバスルームから戻ると、環はさっとシェパードくんを元の場所に戻しながら、
(……今夜こそ、やさしくするつもりだったんだけどな)と小さく呟いた。
< 89 / 89 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:35

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

うちの鬼畜社長がお見合い相手で甘くて困る

総文字数/39,557

恋愛(オフィスラブ)61ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
平泉 凪(ひらいずみ なぎ)28歳  行き遅れアラサーOL 容姿普通 仕事普通 ❌ 小笠原 海龍(おがさわら かいりゅう)33歳  泣く子も黙る鬼畜社長。誤解されやすい。 平々凡々OLと癖あり社長がお見合い プライベートでは甘々ギャップで、OL混乱中 2025.7.19本編公開・完結 ★印はより甘くなっておりますので、ご注意ください。 \たくさんの方に読んでいただき感謝/ 恋愛中編小説で1位獲得 感謝です。 これもひとえに読者様がいらっしゃるから… そんな感謝の気持ちを込めて、ファン登録限定、海龍&凪の秘密のスピンオフをつくりました。そちらも是非ご覧ください。
【スピンオフ】鬼畜社長とまじめ女子。

総文字数/3,732

恋愛(純愛)5ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ファンの皆様限定公開です。 いいねやファン登録ありがとうございます★ 感謝の気持ちを込めて。 海龍×凪のアナザーストーリーをどうぞ。
カンペキ王子は、少々独占欲強めです。

総文字数/63,228

恋愛(オフィスラブ)115ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
湯田中 陸(ゆたなか りく)成績優秀、容姿端麗を絵に描いたような王子キャラ ❌ 矢田 花乃(やだ はなの)悲しい過去を持つがんばり屋な女の子 長い時間を超えて、二人がたどり着いた幸せの形をご賞味あれ。 2025.8.4.本編公開 ★印はより甘くなっておりますので、ご注意ください。 楓のストーリーは「私のテディベアに、私が溺愛されるまで」につづられています。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop