俺様な忠犬くんはご主人様にひたすら恋をする
【おまけ】シェパードくんと私
「……ねぇ、シェパードくん」
瑞希は、ふわふわの毛並みを撫でながら、ぐったりとした体でソファに沈み込む。
部屋の中は、甘く濃い空気の名残。
ベッドでは、すっかり満足そうに眠っている環が、静かな寝息を立てている。
「環ってほんと……寝かせてくれないんだよ……」
耳元にかけられる声、指先の愛撫、
くちづけの嵐、愛してるって囁く声──
どれも瑞希の理性を溶かしていく。
「もうさ、好きなのはいいけど、激しすぎるってば……」
「……私の体力、どうなってると思ってるの……?」
小さな吐息混じりに、愚痴がこぼれる。
「昨日も一昨日も、その前も……!」
「“今日は優しくする”って言ったのに、結局あの人、止まらないんだよ?!」
シェパードくんは、無言で見つめてくる。
「……もう、どうしたらいいの、シェパードくん」
「ほら、私ちょっとムチっとしてるから、スタミナないのに……って、それがいいとか言うしさ……もう…っ」
瑞希は、シェパードくんをむぎゅっと抱きしめた。
「私が壊れたら、どう責任取るつもりなのかなぁ……ねえ、ほんと……」
ちょっとだけ潤んだ目で、シェパードくんを見つめる。
……シェパードくんは何も言わない。
けれど、その毛並みはとても温かくて、そっと寄り添ってくれているような気がした。
「うう……でも、嫌いになれないんだよね……」
甘いため息と、耳までほんのり赤い瑞希。
その姿を見て──シェパードくんはきっと、
(あーあ、また今夜もだな)と、思っていたかもしれない。