あなたに恋する保健室
「う~っ、可愛い……ごはんあげなきゃだね」
 金太郎をケージに戻し、ごはんの準備をして陶器の小皿にエサを入れた。
 入れた瞬間に金太郎はエサを無我夢中で食べ始めるのを眺める私。
「京ちゃん、すごくカッコ良くてさ。なのに保健室に虫かごなんて持ってきてね、そこは昔と変わらないっていうかね。はははっ、突然すぎてビックリしたよ」
 私は金太郎がごはんを食べているのをしばらく眺めた後、手洗いなどを済ませて自分もごはんを食べ始める。
 食事をしながらテレビの電源をつけると、バラエティー番組が流れている。
「金太郎? あとね、気になる生徒がいるんだ。なんだか私に似ている気がして心がざわざわするっていうか。向き合わなくちゃいけないなって思うの。不安だけど、大丈夫かなぁ?」
 金太郎はエサを食べ終えて回し車で走っている。
「がんばれってこと、かな? 可愛いなぁ金太郎~」
 私は金太郎の姿に癒されながら夕飯を平らげてしまい、食器をシンクに下げた。
 家事や入浴している時、ふと京ちゃんのことや氷室さんのことを思い出してあれこれ考えてしまう。
 すっかり私は、養護教諭として新たな職場の一員になったのだと思わされたのであった。
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