あなたに恋する保健室
「亡くなることが悲しいんじゃなく、なんだろうね……難しいな。私もまだわからないことを、氷室さんも抱えている気がしたの」
「そうか」
「ごめんね、こんな話して……」
「いや、聞いたのは俺だから」
京ちゃんは顕微鏡を覗くのをやめて、私と目を合わせた。
その真っ直ぐな瞳は、昔の京ちゃんじゃない。 大人になった京ちゃんの瞳だった。
「ここには『死』がたくさんある。ほら」
そう言って、壁に並ぶ標本に目をやる京ちゃん。私はつられて見上げた。
「ずっと昔から、何年も前からここに飾られているらしい。だから、死んだらそこで終わりってわけでもないと思うんだよな。死は生の一部でさ。死が訪れるから生の証明にもなると俺は思っている」
野生ではあまり見たことがない綺麗な色をした蝶の数々。標本で鮮やかに残されたその姿に、京ちゃんの言葉が反芻する。
「私は何が辛かったんだろう……」
「ゆっくり向き合えばいいさ」
京ちゃんの低い声が私の中で心地よく響いた。
「そうだね」
「あ、ほらこれ見て」
「ん?」
京ちゃんが顕微鏡の方を指差して手招きをするので、そちらに座って顕微鏡を覗いてみる。
「そうか」
「ごめんね、こんな話して……」
「いや、聞いたのは俺だから」
京ちゃんは顕微鏡を覗くのをやめて、私と目を合わせた。
その真っ直ぐな瞳は、昔の京ちゃんじゃない。 大人になった京ちゃんの瞳だった。
「ここには『死』がたくさんある。ほら」
そう言って、壁に並ぶ標本に目をやる京ちゃん。私はつられて見上げた。
「ずっと昔から、何年も前からここに飾られているらしい。だから、死んだらそこで終わりってわけでもないと思うんだよな。死は生の一部でさ。死が訪れるから生の証明にもなると俺は思っている」
野生ではあまり見たことがない綺麗な色をした蝶の数々。標本で鮮やかに残されたその姿に、京ちゃんの言葉が反芻する。
「私は何が辛かったんだろう……」
「ゆっくり向き合えばいいさ」
京ちゃんの低い声が私の中で心地よく響いた。
「そうだね」
「あ、ほらこれ見て」
「ん?」
京ちゃんが顕微鏡の方を指差して手招きをするので、そちらに座って顕微鏡を覗いてみる。