あなたに恋する保健室

エピローグ

 今日は私の家でおうちデート。
 水族館、植物園、動物園、博物館……ふたりで行ってみたい場所(主に京ちゃんセレクトだけど)に行くデートが最近続いたからという理由で、こうなった。
「せっかくだし外出たくならない?」
「……今日は家にいたい」
「あら珍しい」
 私は案外インドア派だったけれど、京ちゃんの趣味に付き合っているうちにだいぶ外に出かけることが増えた。
 だから一応、天気も悪くないし外に出たくないか聞いてみたけれど。なんだか意外な返事だった。
「今日は優希とまったりしていたい」
「ふへへ」
 いかん。
 思わず蕩けるようなだらしない声が出てしまった。
 京ちゃんと付き合う前までは頼れるお兄ちゃんだと思っていたけれど、二人きりになると甘え上手の大型犬……ゴールデンレトリバー的な感じになる。
(こんな可愛い年上なんているんだ……)
 私に寄りかかってきてなんだか可愛らしい。可愛さにつられて頭を撫でると、私の手にそっと重ねてくる。
「ふふっ」
「ん?」
「なんでもない」
 京ちゃんの今日のコーディネートは部屋着。ハーフパンツにざっくりサイズのTシャツ。
 私もお気に入りの部屋着でラフな完全オフスタイル。
 家で全力でゴロゴロするためにわざとこの服装指定にしたのだ。
「そういえば来年度、持ち上がりで担任だろうから二年生の担任かも。となると修学旅行があるなぁ」
「そうだね」
「優希と仕事でも一緒に旅行って、なんだか変な感じだな」
「たしかに」
 私は毎年のように同伴するけれど、教師陣は担任だけだもんね。
 そうか。そんなこともあるのか。
 なんて考えていたら、京ちゃんは姿勢を直してコーヒーを飲んだ。
「冬にでも旅行、行かないか? 温泉めぐりとか」
「温泉! いいね!」
 最近、私は温泉にハマっている。
 地元にたくさんの温泉があることを知り、すごく疲れた時に温泉に行ったら一気に疲労回復。それからは何もなくても温泉めぐりをしていて、気付けば趣味になっていた。
「どこがいいかな? 熱海、箱根、草津……有名どころもいいけれど、地方の隠れた名所みたいなのも捨てがたいなぁ」
 少し前に本屋で惹かれた温泉雑誌があったのを思い出し、立ち上がろうとした。
 とん、と私の肩が京ちゃんの肩にぶつかってしまう。
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