オフィスでは忠犬、でも二人きりになると獣でした~年下部下の甘すぎる独占愛~

第1話 部下は忠犬、のはずだった

どの会社も営業部だけは、人の入れ替わりが激しい。

数字とクライアントとに日々追われ、何より精神的に消耗する部署だ。

それでも私、朝比奈綾乃は、十年以上この戦場に立ち続け、今では課長職に就いている。

「桃花ちゃん、今回も頑張ったわね」

「奈恵さんも、最後の粘りが決め手だったわ」

部下を褒めて伸ばすのが私のやり方。

数字を追うだけでなく、人を育てるのも営業課長の大切な仕事だ。

チームの雰囲気は悪くないし、売上も右肩上がり。私は私なりに、この部署を守ってきた自負がある。

そんなある日、人事から一本の連絡が入った。

「本日付で新しく営業課に配属される藤堂悠真(とうどう・ゆうま)です。」

そして現れたのは、柔らかな髪に穏やかな笑顔をまとった――

まるで大型犬のような青年だった。

「本日からお世話になります。藤堂悠真です。課長のご指導、楽しみにしています。」

その瞬間はまだ知らなかった。

この“人懐っこい笑顔のわんこ部下”が、

私に牙を剥く日が来るなんて――。
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