姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.32 見せつけてやるのよ
次の日の昼休み、学校の中庭。
レンガ調の小道の何箇所かに点在する丸く縁取られたベンチ兼花壇の中央には、季節の花が彩りよく植えられている。
その中心には植樹もされているから、ベンチは程よい木陰になっていて心地の良い空間となっている。
ここは生徒たちの憩いの場――
その一角に、私と榛名聖は隣り合って座っていた。
「ご指名は嬉しいけど、なんで俺なの〜?」
私と榛名聖のツーショットを、そこにいる生徒たちがヒソヒソと何か言いながら見ている。
こっそり様子を伺っているつもりなんだろうけど、何度も見てくるからバレバレだ。
そんな中でも私は飄々としているし、榛名聖はふわふわにこにことしている。
「榛名聖が1番協力してくれそうだったから。」
榛名聖の質問に、間髪入れずに回答する。
「近江涼介はくだらねーとか言いそうだし、広瀬真は口うるさく騒ぐでしょ。
榛名聖が1番こういうことに口出ししなくて1番ノってくれそうだったから。」
話を聞いている今だって相変わらずの気の抜けた笑顔で、どうでもいいです感がビシバシ伝わってくる。
表情も機嫌も態度もいつも一定の生ぬるさだから、会話してて楽な時は楽だしモヤッとくるときはモヤッとする。
今は前者だ。
「あの2人はなんだかんだ言って、……なんというか、いい奴、だけど。
榛名聖は私のこと割とどうでもいいと思ってるでしょ。」
近江涼介は私を褒めてくれる。広瀬真はお人好し。
だけど榛名聖はどうだろう?
私のピンチに3人一緒に現れるけど、たまに私より私の心をわかってるけど。
感情が読めなくてたまに近江涼介よりロボット感ある時がある。