姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.46 兄ズを説得せよ!

「いけません!」

ところ変わって自宅マンションのリビング、夜。

腕を組んで顔を顰める渉兄ちゃんと、ショックで両手で頬を覆ってムンクの叫びみたいになっている傑兄ちゃんを前に私は地団駄を踏んだ。


「なんで!?友達と遊ぶ約束なんだよ!?初めてだよ!?行きたい行きたい行きたい行きたいーッ!!」

両手両足でジタバタする私を、渉兄ちゃんが「近所迷惑でしょ!」と制する。


「駄目だよ姫!馬鹿なの!?友達って言っても相手男だよ!?
そんな遠出だけでも心配なのに外泊もってダメに決まってるじゃん~!取って食われちゃうよー!」


傑兄ちゃんはガバッと勢いよく私に抱き着いて、頬ずりしながら私の頭を撫で繰り回す。

渉兄ちゃんも大体言いたいことは同じ様で、断固反対の姿勢を示す腕組のまま、うんうんと頷いている。

「こうなったら仕方ない……。」

傑兄ちゃんの腕を何とかすり抜けて、兄達と少し距離をとりポケットからスマホを取り出す。

少し操作して、ババーンと印籠のように兄達に突きつけた画面には、メッセージアプリが映っていた。

“通信中…”の画面が途切れて、3画面に分かれた映像が表示される。

そこにいるのは寝起きと風呂上り状態のH2Oの3人だ。


「へっへーん、どうだ!連絡先交換したんですぅー!」

しばしの沈黙。途中で我に返った傑兄ちゃんが、「いやだから何!」とツッコんだ。


「マジで何。風呂上りなんだけど?」

荒い画質でもわかる、しなやかな黒髪から水を滴らせた近江涼介が不機嫌そうにそう言った。


ちなみにすっぽんぽんではない。
ちゃんとTシャツ着てた。

榛名聖と広瀬真は寝ていたところを起こされたのか、目を擦ったり欠伸をしたりしている。


「アンタ達が男なせいで兄ちゃんたちがクリスマスに出かけていいって許可くれない!
はい、それについて一言!」


カメラに写った厳しい表情の渉兄ちゃんと、威嚇状態の傑兄ちゃんを見て3人は状況を悟ったらしい。

あぁ……ってげんなりした顔してた。


「このブ…妹さんを女として認識したことないっす。狂暴ゴリラと思ってます。」

「億が一の間違いもないし、あったとして暴れて大怪我負わされるリスクしかないから絶対無理で~す。」

「俺らの前で色気皆無なんで。大丈夫ですよ。」


ナイスフォローだけどムカつく。
明日覚えておけよ。

とりあえず画面を殴っておいた。

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