姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
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「寒い。死ぬ。」
街灯に照らされた雪面はぽわんと暖かそうな色に染まっている。
風もないのに冷たい空気が頬を刺して、ぐるぐる巻きのマフラーに逃げる様に顔を埋めた。
「――わぷっ!?」
ボフン、とこめかみに雪玉が直撃した。
しかも威力がある、痛い。
「ザマーミロ、ブス!
日頃の恨み、ここで晴らしてやるぜ!」
広瀬真は両手に雪玉抱えて不敵に笑っている。
そのしてやった顔にムカついて、足元に積もる雪を乱暴に鷲掴みして顔面に投げつけてやった。
「ってーな!俺は正面避けてやっただろうが!」
「おーっほっほっほ、鈍臭いのが悪いんですー。百倍返しだバーカバーカ!」
壮絶な雪玉の応酬を、榛名聖と近江涼介は他人事のように見ている。
「シチュエーションが違うだけで、いつもとやってること変わんないね〜。」
「……ホントな。」
のほほんとしている榛名聖の肩に、バフッと雪玉が当たる。
「なーに高みの見物してんだよ!来いオラ、聖にも晴らすべき日頃の恨みがあんだよ!」
「ええ〜?なんで〜?」
いつのまにか距離を詰めていた広瀬真が、ヘラヘラ笑う榛名聖の腕を掴んで引きずっていく。
庭の中央までくると、背の高い榛名聖を深い雪溜まりに突き倒した。
「ナイス、広瀬真!このまま総攻撃よ!」
「幽霊騒ぎの恨み、くらいやがれ!」
「ちょっと〜、やめてやめて〜!」
――ついに庭の隅に涼介ひとりになってしまった。