姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.74 焦燥
俺と涼ちゃんのコンビが周りに定着してきた頃。
たまに見かける真くんはいつも1人だった。
女の子からの遠巻きの視線に気づくたび、真くんは煩わしそうに顔を顰める。
――後から聞いた話によると、肩書きを見て寄ってくる人が嫌だったんだって。
でも“広瀬”が付き纏う以上はさ。
自分に積極的にかかわってくる人がみーんな家柄目当てに見えちゃうんじゃない?
――真くんは自己肯定感が低いから。
人付き合いも下手くそだし、だから1人のままなんだよ。
ある昼休み。
涼ちゃんといる時に真くんとバッタリ出会す。
「あっれ〜?久しぶり、“まーくん”。
ずいぶん雰囲気変わったねぇ。」
「まーくん……!?
てか雰囲気って、聖く……んん゛っ、お前もだろ。」
俺の先制攻撃にわかりやすく動揺する。
見た目も話し方も変わっていたけど、凛とした意志の強そうな表情はそのままだ。