姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「……勝手に決めつけないでくれる?
お綺麗な言葉で纏められるのってムカつく……」

そっぽ向きかけた頬を、両手で挟むようにして捕まえる。

絶対に離さない。
榛名聖の心の真ん中に届くまで、ずっと手を伸ばし続けるんだ。

こっちを見ない榛名聖の目に、感情が揺れている。
自分を落ち着かせるよう深い呼吸を繰り返す胸が、膨らんだりへこんだりしている。

――もう少し。もう少しで届く。

「アンタの腹黒さなんて、皆とっくに気付いてる!
それでも、ずっと友達でいようとしてる!

榛名聖は独りなんかじゃない!」

声が空に弾けて、すべてが止まったように静かだった。


夕日が榛名聖の瞳に差し込み、光が揺れる。
手で覆った頬の熱が、じわりと手の平に滲んだ。


「……だからもう、“関わらない”なんて寂しいこと言わないでよ。」


ちょっと弱気になってしまった。
切なさを隠したくて、強がりな笑顔を浮かべて見せる。

絶対に目だけは逸らさない。
離れていってほしくないから。

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