姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.80 仲直り
「まーくん、昨日は嫌なこと言ってごめんなさい!」
翌日の昼休み、旧校舎のいつもの場所で榛名聖は広瀬真の目の前で勢いよく頭を下げた。
その様子を、広瀬真は丸テーブルに肩肘をついて険しい顔で見つめている。
私はソファでその様子をハラハラしながら見守っていた。
隣に座っている近江涼介は、関係ありませんって顔で読書しているけど、多分これは奴なりの気遣いだ。
「……なんであんなこと言ったんだよ。」
広瀬真の質問に、顔を上げた榛名聖が気まずそうに頬を掻いた。
「まーくんに嫉妬してました…。
まーくんは嫌がってるけど、俺からしたら両親から期待されてるのが羨ましかったんだよねぇ。
何年か前に無視したのもそのせい。
だからいろいろ、ごめんね!」
そう言ってまた深いお辞儀。
あの榛名聖がここまで真摯に謝ってくれるとは思わなかったのだろう。
広瀬真は多分どうしたらいいのかわからなくなっている。表情が若干引き攣っているもん。
「嫉妬……とかは正直よくわからんけど、謝ってくれたならもういい。
……つーか俺も、聖にとって気に障ること言ったし、悪かった!」
雨降って地固まる。
2人が無事仲直りした安堵と嬉しさで、思わず駆け出した私は2人目掛けてタックルした。
「よかったー!よかったよーぅ!」
「なんだよウザ!離れろ!」
2人まとめてしがみつくように抱きつけば、広瀬真は少し赤面しつつも煩わしがるし、榛名聖はふわふわ笑って「暑苦しいなぁ」と失礼なこと言ってくる。
これで“いつも”が元通り。
あー、よかったよかった。