姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「……あーら広瀬くん、おはよ♡」

(うるせえ、バーカ。)


人前なので私を“ブス”と呼ぶ不届者にも愛想よく微笑んでやる。

それでも隠しきれない本音が顔に書かれていたようだ。

「あ?んだと?」

広瀬真が眉を顰めたが、すぐに自分を落ち着かせるようにため息をついてそっぽ向いた。

「あー……やめやめ!朝から不毛な言い合いやってられっか。俺は忙しいんだよ。」

さっさと歩いて自分の席に着いて、勉強道具を取り出し始めてしまった。

今日はみんなツレない日のようだ。榛名聖は遅いし。

結局近江涼介からの反応は一度も得られぬまま、HRの始まりを告げるチャイムが鳴ってしまった。

忌々しい後ろ頭に軽く頭突きを食らわすも、それでも頭が反動で揺れたくらいで何も起こらない。

足音荒く自分の席に戻った時に、漸く呆れ顔の近江涼介がこっちを向いたようだった。
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