姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「フランス語だな。俺のせいじゃねーよって言ってる。」
「フランス語!?」
「S'il te plaît, étudie davantage. Hi-chan?」
「“姫、お前もっと勉強しろ”だってさ。」
心底楽しそうに呪文を唱え続ける榛名聖と、淡々と通訳する広瀬真を勢いよく首を振って交互に見る。
なんかよくわからないけど馬鹿にされていることだけはよくわかったので、地団駄を踏んで対抗した。
「行儀悪い。」
ずっと黙っていた近江涼介が鋭く私を睨む。
子どもみたいに叱られた。
大人しく止めることにした。
「だってさ、榛名聖が意味不明な呪文で私のこと馬鹿にするんだもん!許せないでしょー!?」
それでも納得はいかないので往生際悪く近江涼介に詰め寄った。
が、知らん顔された。
「呪文じゃなくてフランス語な。」
立派な卵焼きを食べながら広瀬真が代わりにツッコむ。
さっきから冷静に翻訳したり訂正したりしてくるのが鼻につく。