姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「シャラップ広瀬真!
さっきからスカした顔で賢いアピールしちゃって。
フランス語わかるから賢いってわけじゃないから。バカバカバーカ!」
とにかく一矢報いたくてバカにバカと連呼する。
澄まし顔だった広瀬真の眉がピクリと動いて、戦いのゴングが鳴り響く。
「你是个白痴。白痴。」
(バカはお前だ。バーカ。)
「!?」
戦闘を開始したのに、意味わからない呪文のせいで反撃できない。
私がたじろいでしまったのを見て、勝ち誇ったように畳み掛けてくる。
「Allez, dis-le-moi en retour.」
(ほら、言い返してみろよ。)
顔をグイッと近づけて、広瀬真は意地悪く笑う。
私の向かい側にいる榛名聖も、パンを齧りながら楽しそうに観戦している。
「これはひーちゃん分が悪いね〜。
まーくんてスパルタ英才教育のおかげで、英語・フランス語・中国語喋れる隠れスーパーマンだから〜。
あ、ドイツ語もいけたっけ?」
「そんなチートあってたまるかァ!
日本人なら日本語で勝負しなさいよ!オモテナシの精神!ワビサビの心!」
「Sagen Sie nichts, was keinen Sinn ergibt.」
(意味不明なこと言わないでくださーい。)
「あああ〜!ムカつくー!」
ストレスがかかり過ぎて、ひっくり返る勢いで反り返って叫んだら、また近江涼介に叱られた。
こうして賑やかに束の間の昼休みは終わっていくのだった。