姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「ウチの妹に絡んでんじゃねぇええええええ!」
砂を巻き上げものすごい勢いで竜巻が迫ってきた。
その場にいた全員砂埃で咳き込む中、視界が良好になる頃には私は傑兄ちゃんの腕の中だった。
「ぶ、分身?」
「「違います。」」
ガルルル、と唸る威嚇顔の傑兄ちゃんとシラケ顔の私を見比べて全員ポカンとしている。
本当にどこに目ェついてんだ。髪型も体型も全く違うじゃないか。
ピリリと張り詰めた空気が一気に緩んでしまったところで、背後から圧を背負った2人がやってきた。
「ウチの妹が何か?」
「………。」
渉兄ちゃんと近江涼介だ。
渉兄ちゃんは穏やかな笑顔だけど、ガタイの良い体つきは立っているだけで威圧的。
そして近江涼介。
こちらも立っているだけだけど、浮世離れした顔立ちは少し目を細めただけでも人を萎縮させる圧がある。
ひと睨みしただけでヤロー共はそそくさと撤退していった。
「ひーめー。大丈夫か?怪我ないか?」
傑兄ちゃんが心配して狼狽した様子で私の顔をペタペタと触る。
さっきまでイカ焼き焼いていたせいか、手から炭とイカの匂いがして、あまり良い気分ではない。
――私達がなぜ、こんな灼熱の海辺に大集合しているかって?
答えは、“アルバイトしに来たから”である。