姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.117 やっぱ無理
次の日の朝、久しぶりの黒髪王子の登校に、校内が湧いた。
「近江先輩っ心配しましたぁ……大丈夫ですか?」
「近江くん、無理しないでねっ」
声援を丸無視して涼しい顔で廊下を歩く近江涼介は、いつもと変わらないように見える。
「はよー、涼介久しぶり。体調はもういいのか?」
「ん、昨日には熱も下がってたし。この間は驚かせて悪かった。」
「ホント心配したよ〜。あ、休んでた間のノートとってあるからあげるねぇ。」
3人で近江涼介の元に集まり賑やかにする傍で、私は唇をまごつかせる。
“いつも通り”の風景。
でも、近江涼介が弱っている様に見えるし、広瀬真や榛名聖の態度どこか演技がかって見える。
脳裏にチラつく“知ってしまった事実”が、目に見える景色をガラリと変えてしまった。
(……やっぱり、“いつも通り”なんて無理。)
教室のざわめきが遠のく。
違和感を抱えたまま、上手く笑うことはできなかった。