姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
番外編 なんでもないただの1日 side.近江涼介

AM6:00

AM 6:00
いつも目覚ましより早く目が覚める。朝は多分得意な方。

布団の中で何度か寝返りをしながら、薄暗い空間でただ時が過ぎるのを待つ。

兄は寝起きが悪かったらしい。だから俺もまだ起きられない。
そんなことが小さな頃から当たり前で、客観的に見て歪だと理解していても主観的には特におかしいと思わない。

カチコチとなる時計の音を聞きながら、ぼんやりと天井を見ていた。

AM 6:30
目覚ましの音をしばらく鳴らした後で止めて、起床。
ぼんやりとしたフリをしながらだらだらと階段を降りてリビングへと向かう。

「涼ちゃんおはよ〜。またぼんやりして。
朝ごはんの前に顔洗っちゃいなさい!」

母親は小言を言いながらも、「息子が可愛くて仕方ない」というのが表情から滲み出ている。
言われた通りに顔を洗ってリビングに戻ると、ニュース番組を見ている父親の向かい側に座った。

「おはよう、“涼”。」
「おはよう。」

微笑みながらも父親はサラッとしていて、すぐにテレビに視線を戻す。
優しい父ではあるが、あまり積極的に俺と関わろうとはしない。多分俺を犠牲にしている自覚と罪悪感があるからなのだろうと思うし、別にいい。

「学校はどうだ」「勉強はどうだ」と母親となんでもない会話をしながら朝食を取る。
“涼”は食に積極的で早食い、身なりもそこまで頓着しない性格だから朝の支度でもたつかないのはありがたい。

手早く身支度を済ませると、「いってきます」と明るく挨拶をして家を出た。
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