姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

AM7:15

AM 7:15
外は雨だ。傘を広げて駅までの道を歩く。

雨の匂い、好き。
濡れる肩や足元は…好きじゃない。

『一緒に探そう。好きも嫌いも、嬉しいも悲しいも全部。』

姫にそう言われた日から、最近は常にそんなことを考えている。
五感や心に引っかかるものがあった時に、それをどう感じるか言語化する作業。

“作業”なんて言い方したら「やっぱりお前はロボットか!」なんて姫にツッコまれそうだが、“涼はどうか”をクセで考えてしまう俺にとって無意識にこれをやることは結構難しいことだ。
だから“作業”で合っている。

改札をくぐり、ちょうどやってきた電車に乗り込む。
この時間はすこし混んでいるが、もう慣れたものだ。

AM 8:00
学校の最寄駅に着く。
ここに降り立つとちょっと肩の力が抜ける感覚になる。
気を抜き過ぎると感覚がオフになってしまうから、最近は気をつけるようにしている。

道行く女子生徒が俺の姿を見つけると、顔を赤らめどんどん道を開けていく。

「そりゃそうでしょ〜涼ちゃんの見た目は極上なんだから!」

いつかの聖の言葉を思い出す。
道端で声をかけられることもあるし、異性の態度を見てもまぁウケる容姿なんだろう。どうでもいいけど。

学校に到着した後も、遠巻きに騒ぐ生徒ばかりで誰も関わってこようとしないため誰とも関わることなく教室に辿り着く。

出入り口付近の自分の席に腰掛けると、そのまま鞄から本を取り出して広げる。

教室の中央にはいつもの顔ぶれが3人並んでいて、何やら楽しそうに談笑しているのが見える。
席は名前順に決まっているため俺だけ離れてしまったけど、そこは別段なんとも思わない。

1人で静かにしているのが好きだからなのだろう、多分。

なんて思っていると俺の姿を見つけた姫がスキップしながら近づいてきた。
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