姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
——前方でスマホカメラを構えた男が、広瀬真の一瞥だけでビクリと撥ねた。
逃げるように視線を逸らし、人混みに紛れ消えていく。
その始終を見ていたのは、近江涼介と榛名聖だけだった。
「何でもないのに前出てこないでよ!
ぶつかるところだったじゃない!」
「うるせぇ、ちゃんと前見て歩けブス。」
「あぁん?もう1回言ってみなさいよ!」
「ブースブスブス。」
「1回って言ったのに3回も言った!ちょっと面に出なさいよバーカ!」
静かに言い争う私達の背後で、榛名聖が「損な性格」と呆れたように呟いた。