姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
講義終了を告げるアラームが鳴る。

それと同時に生徒達はだるそうに立ち上がったり、散らかるノートをそのままに机に突っ伏したりしている。


白い校舎が古ぼけた講義室になって、白い制服が深い深緑色のジャージになっただけ。

いつもの学校風景と何が違うのだというのか。


「あっつー………。
こんなんならエアコン効いた教室でいい。もう帰る。」

暑さによる不機嫌さを紛らわせるように勢いよくノートを閉じて、そのまま机に突っ伏した。


「嫌になるのはえーよ。まだ1講目だぞブス。
友情も何も深まんねえよ。」


隣の金髪はその見てくれの不真面目さに似合わず、講義が終わってもなおノートを開いて何かを書いている。

私に苦笑しているのに視線はずっとテキストだ。

「うるさいバカ。私はあんたと違って繊細なの。暑さに弱いの。
――っていうかなんであんたと隣なの。」

「おめーが勝手に隣に来たんだろうが!」

心のゴングが鳴ったらしい金髪の怒号に、周りの視線が一気に集まる。


暑さで理性とやる気を奪われていた私は、ここでハッとした。

そうだった。私が仕方なくバカの隣にきた理由。


“女達に復讐するため”だった………!


素早く居住まいを正して、きゅるんと可愛い笑顔を作り、
手提げの中から可愛い包みを取り出す。

可憐に包みの結び目を解き、タッパーの蓋を開けると、その中身を金髪に差し出した。

「そういえば広瀬くん♡
私クッキー作ってきたの♡食べて♡」

「いらねぇよ!
お前の作ったのなんか、何入ってっかわっかんねぇ…」

「そんなこと言わずにぃ…

食べさせてあ・げ・る♡」

「やめろぉおおおお!!」
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