姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「そうそう、どうせ大企業のトップになるなら自分の好きなように舵とっちゃって……ってうわぁッ」
急に強い風が吹きつけて、そのタイミングで片足を上げた私は綺麗によろける。
それを咄嗟に広瀬真が受け止めて、奴の胸に飛び込んだみたいになった。
「痛ったた……、けど助かった。
よくやった!広瀬まこ……と……」
真っ赤。
見上げた広瀬真の顔が、茹ダコみたいになっている。
眉毛と目がくっつきそうなほど、口もこれ以上ないくらいのへの字で、今までで1番険しい顔をしていた。
ぐいっとすぐさま肩を押されて体同士が離れていく。
「――悪い。」
広瀬真はそれだけ言い残してさっさと屋上から出ていってしまった。
――空は高く、冷たい風は冬の匂いを纏っている。
「何なのよ、アイツ……」
広い屋上にただ1人、困惑顔の私だけポツンと取り残された。