姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.144 完敗だ


「――父さん。
高校受験と、……その後のことで話があります。」

震える手を握り締めて、父親に立ち向かった日の恐怖と高揚感を今でも覚えている。

――そこからの道は険しかったけど、説明は簡単だ。

父親を説得して3年間の期限付きの自由を手に入れ、髪を金色に染めて好きなように見た目を変えた。

隠し持っていたHEROsを毎日のように読んだり、車窓から街を観察したりして、一般人っぽい喋り方や態度も習得した。


高校入学直後からすでに広瀬グループの息子であることは広まっていて、相変わらず肩書きありきで見られる日々。

けどまぁ、偶然同じ場所を受験した聖と再会したり、涼介と出会ったりでなんだかんだ心を許せる仲間もできた。


聖はともかくとして、涼介も実はすごい。

涼介からは下心とかミーハー心みたいなものを一切感じないから、出会って数日で俺は涼介を警戒しなくなっていた。


――そしてその後出会ったのが姫だ。
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