姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
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楽しい時間はあっという間で、もう消灯時間間近だ。
私はと言えば半分寝てたせいでまだぼんやりと目を擦りながら、男子フロアと女子フロアの分かれ目となる階段で3人を見送り手を振っていた。
「ひーちゃんおやすみ〜⭐︎また明日ね。」
「じゃーな、……寝ぼけて階段から落ちんなよ!」
「じゃ。明日。」
ひそひそ声ながらも賑やかに階段を降りていく3人の後ろ姿が曲がって見えなくなる。
私もダラダラと階段を登って宿泊部屋を目指した。
消灯時間間近で教師達が部屋に戻るよう声をかけている。
女共が騒々しくそれぞれの部屋に帰っていく廊下を抜けて、部屋の中に入っていく。
玄関と大部屋を隔てる襖越しに聞こえていた賑やかな声が、私がそこを開けた途端ピタリと止む。
女共が布団の中で固まったまま、私がどうするのか伺っているようだったけど――
既に眠い私は全く気にならない。
部屋奥の端っこの、ひとつだけ空の布団を見つけてそこに潜り込むと、女共に背を向けてすぅっと眠ってしまった。
「え、寝たの?」
「寝た?」
「寝てる!早くない!?」
(――やっぱり、来てよかった。)
そんな女共のざわめきも、私の耳に届くことはなかった。