姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.150 静かな火種
階段を降りてそこから1番近い部屋の真と別れた後、聖と涼介はのんびりと廊下を歩いている。
消灯間近でざわつく廊下では、静かな2人の会話は誰にも聞こえない。
「姫をけしかけて、何を探ってる?」
唐突に涼介が聖に聞く。
なんのことかと誤魔化す選択肢もあったが、涼介には通用しないか、と聖は素直に答えた。
「まだ自覚してないよね?って。
涼ちゃんもまーくんも。」
「それを知ってどうする?」
「どうもしないよ〜?どっちかと言うとどうもされたくないから注意して見てるだけ。
勝手に暴走されると困るんだよねぇ。
……ひーちゃんが傷ついちゃうから。」