姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.153 ヤバい奴
「やめなさい!彼女が怖がっているでしょう!」
ピンチに切り込む真の通った高い声。
本能的に命の危険を感じて激しく脈打つ心臓を抑えながら恐る恐る割り込んできたものを見ると、木刀。
(もっとヤバい奴が来ちゃった!!)
真っ青になって目を見張った。
その持ち主がいるであろう方向を見ると、私と同じ制服を着た髪の長い女が険しい顔をして木刀を振り翳していた。
「今すぐいなくならなければ人を呼びますよ。
それとも今ここで私がお相手しましょうか?」
そう言って凄みながら木刀女は刀の鋒をナンパ男の方に向ける。
ナンパ男達もこれには命の危険を感じたのか、「ごめんなさい!」と謝って勢いよく走り去っていった。
ナンパ男の姿が見えなくなったのを確認すると、木刀女は今度は私の方へと振り返る。
さっきまで人に向けて振り翳していた木刀を肩にかけ、表情は威圧的。
私の鼓動もまだ速くて、次は私がやられる番かと覚悟して唾を飲み込んだ。
「大丈夫ですか?……って、あら?あなたは藤澤姫さん!」
一転して柔らかく笑う木刀女に拍子抜け。
次いで木刀女が目を丸くして私の名前を呼んだので「ハイ……」と思わず返事をしてしまった。