姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「こんなところで1人でいてどうしたんですか?班の人は?もしかして、迷子とか?」
長い黒髪を揺らしてあたふたと矢継ぎ早に喋る姿はそこら辺にいるただの女子高校生だ。
手にしている木刀は相変わらず物騒だけど。
「それはアン……あなたもでしょ?というか、誰……」
一応助けてもらった恩はあるから最低限の敬意は払った。
“誰?”と問われた木刀女は一瞬きょとんとして、それから恥ずかしそうに笑った。
「やだ、私ったら失礼しました。藤澤さんは学校の有名人だから一方的に知っていただけなのに、つい知り合いのような気持ちで話してしまいました。
私は栗谷 天音。藤澤さんと同じく、青藍高校の2年生。 B組です。」
同じ学校なのは私と同じ制服着てるから知ってるし。
それよりなんで私に笑いかけて、なんで手まで差し伸べてるの?
栗谷天音と名乗ったこの女の意図がわからなくて、妙に緊張して目が泳ぐ。
でもなぜか、なんでだか、私はその手を取ってしまった。