姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.154 栗谷天音


――で、なぜか今私はカフェにいて、なぜか栗谷天音と向かい合って座っている。
暖かい空気で曇った窓ガラスが、外の世界をぼやけさせている。

(なんで!?ねぇ、本当になんで!?)

もちろん連れ去られたわけではない。
むしろ自分の意思で歩いてきた。

だからこそ、自分が知らない奴、しかも女にホイホイついてきてしまって、お茶までしてることが不可解でならないのだ。

草むらで警戒している小動物よろしく、栗谷天音と正面からは向き合わず少し斜に構えて改めて彼女を観察する。

一言で言えばきつね顔。

腰までまっすぐ伸びた黒髪に、イエローベースの白い肌はザ・日本人って感じ。日本人形みたいな…

それでいてスラッと長い手足と長身。だから木刀なんて振り翳されると女なのに結構迫力があった。

私がガン見していることに気づくと、栗谷天音は人懐こくふわりと微笑む。

それが友好的なものに感じられるから、腹の中が見えなくて怖い。

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