姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「藤澤さんは……いえ、同級生なのになんだか仰々しいですね。
“姫ちゃん”とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「……っ、ゴホッ!」

唐突な馴れ馴れしさにビックリして抹茶粉末が気管に入り込んでむせた。

おまけに持っていたスプーンをテーブルの上に落として、そこに乗っていたアイスが飛び散った。

「だっ大丈夫ですか!?“姫ちゃん”!」
「ケホッ、ちょ、タイム……っ!ん゛……ゲホッ」

心配そうに前のめりになって近づいてくる栗谷天音を片手で制し、もう片手は自分の口元を抑えて咳き込みを受け止める。

咳のせいで涙目だし顔も熱い。
儚い美少女であるこの私がこんなところで豪快に咳き込むなんて、とんだ失態だ。

もはやこれはアレルギー反応に違いない。
女に馴れ馴れしく呼ばれてよかった試しなんて一度もないから、体が拒否反応を示しているんだ。

「ッ、はー……。よよ、呼び方の前に、他に仰々しさ抑えられるとこあるでしょ!
その敬語とか敬語とか敬語とか!」

「敬語はクセみたいなものなので……
誰に対してもそうなんです。」

「あーそうですかッ!」

ようやく落ち着いた口元を手の甲で拭って、屈託なく笑う栗谷天音を恨みがましく見つめる。

さっきから調子狂わされまくりだ。
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