姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「偶然だねぇ、楽しんでるー?」
両サイドに女を侍らせ、榛名聖は優雅に手を振る。
私の後ろにいた女達は、さっきまで苦虫噛み潰したような顔をしていたのに途端に色めき立つ。
私の隣にいた男達は圧倒的な自分達との格差にたじろいで、榛名聖の隣の女達は明らかに面白くなさそうな顔になる。
あ、ちなみに榛名聖のグループの男は空気だった。
「楽しいよ?まさか榛名くんがいるなんて意外。
広瀬くんは、やらないってどこかに行っちゃったから。」
にこやかに仲良しをアピールしながら、ぶつけた皮肉は届くだろうか。
表情の変化を観察するも、薄っぺらい微笑みからは何もわからない。
そうだ、コイツはそういう奴だった。
「あー、涼ちゃんと一緒だね〜。
俺はこういうの好きなんだけどなー。
なんか青春って感じで。」
あはは〜、と笑う榛名聖の口から出た「青春」のワードが似合わなすぎて胡散臭い。
榛名聖のお供の女達は、痺れを切らして「もう行こうよ」と榛名聖の腕を揺する。
「ハイハイ。じゃあね、足止めしちゃってごめんねぇ。
……ひーちゃんもやらない派だと思ってたけど。
ま、やるからには負けないから〜。」
ひらんひらんと手を振って、榛名聖とその仲間達は去っていく。
こちら側の女子はすっかり元気になって、「かっこいい」だの「近くで見ちゃった」だの騒いでいる。
「…残り時間、あと何分?」
急に話しかけられ、驚く隣の男は慌ててスマホで時刻を確認する。
「えっ…あと、15分くらいかな?」
「クイズはあと何問解けば終わるの?」
「あと……3問だね。」
「じゃあ、死ぬ気で頑張ろっか♡」
満面の笑みでそう言って「地図貸して?」と地図を持ち先陣切って歩き出した私に、戸惑いながらグループのメンバーはついてくる。
こんな活動くっだらないと思うのは変わらないけど、あんなへらへらしたやつに負けるのは私のプライドが許さない。
男の下手くそな道案内から、超効率的な私の先導に変わったこのグループは、わずか10分で残りの問題を全てクリアして見事にゴールしたのだった。