姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「おはようございます。真坊ちゃん。」

静かにゆっくりと襖を開けると、中にいる給仕の使用人達が一斉に頭を下げる。
それに応えつつ、上座をチラリと見て誰もいないことにホッとするとゆっくりと自分の席に着いた。

「おはようございます、真さん。今朝もずいぶん冷えますね。」

すでに着席していた母さんが穏やかに微笑みかけてくる。
父親がいないから母さんの表情も柔らかい。

「おはようございます。父さんは今日は……」

「重要な商談があるからとすでに出勤しましたよ。他県まで行かなくてはならないようです。」

「……そうですか。」

俺に分刻みのスケジュールを強いる父親は、彼自身も殺人的なスケジュールをこなしている。

広瀬のために言葉通り“寝る間も惜しんで働く”人生は何が面白いのかと疑問に思う一方で、それで事業をさらに拡大させた努力と実力は尊敬している。

最近父親が食事の席にいたせいであまり話せなかった近況報告をしながら、久しぶりに穏やかに朝食の時間が過ぎていった。
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