姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「あ〜いたいた、探したよー?」

暗い茂みが揺れて、そこから榛名聖と金髪が現れた。

「そろそろダンスタイムが始まるからさぁ、女の子たちが血眼になって涼ちゃんのこと探してたよ〜?」

「俺らも襲われかけたから逃げてきた。」

道中蚊に刺されたらしい金髪が腕や脚を気にしながら、苦虫噛み潰したような顔をしてる。

「ダンスタイム……!」


マウントタイム!と目を輝かせて奴らを見たら、何を察したのか「行かないよ、俺達は」とあっさり断られてしまった。


「わー、始まったねぇ。」

キャンプファイヤーの方向から定番のフォークダンスソングが風に乗って流れてきた。

煌々とした大きな炎をを囲って生徒たちがくるくる踊っているのが見える。
浮ついているのもわかる。



『藤澤さんと同じグループ嫌なんだけど』


………あ。クソみたいなこと思い出した。

小学生の時、林間学校で同じグループになった女が陰口言ってるのを聞いてしまった時の記憶だ。


“なんでそんなこと言われなくちゃいけないの”
“私だってアンタ達と一緒なんてお断り”


怒りとか悔しいとか悲しいとか、全部のドス黒い気持ちがお腹の中をぐるぐる回って気分が悪かった。

――だから当日は、仮病を使って休んだ。


学校行事は嫌い。
何が楽しいのかわからないのに、みんな楽しそうにしてるから。


蘇った黒い感情に歯を食いしばる。

その刹那、ぎゅっと握った拳を不意にとられ、上に引き上げ捻られた。

反動で体が一回転。華麗にターンした。

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